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福岡県糸島市で気軽に相続相談ができる税理士、小山知則です。

毎週金曜日にブログで私の専門としている経営と相続をメインに役立つ情報を綴っていきます。お楽しみに!


譲渡所得の申告に市街地価格指数を使う

土地や建物を売った時は譲渡所得の申告を行います。

譲渡所得は下記のように計算します。

収入金額-(取得費+譲渡費用)

収入金額:売った金額
取得費:買った金額
譲渡費用:売るときにかかった費用

この際度々問題になるのが取得費です。
買ってから売るまでの時間がたてばたつほど、買ったときの売買契約書等の
当時の購入した金額が分かる資料を紛失していることが多いからです。

この場合に買った金額をいくらにすべきか?
これは以前に例を挙げました。詳しくは以前の記事をご参照下さい。
参照)土地を売った時の税金が全然違う(市街地価格指数)

そう、市街地価格指数を使うケースが多いのではないかと思います。

 

市街地価格指数を使う場合の注意点

しかし、市街地価格指数を使う際にはいくつか注意点がございます。

1、取得費の算定に当たっては、明らかにその額が認定できるものについては
それによることとする→売買契約書やその他客観的な証拠等です。

2、地目が宅地であること

3、概算取得費やその他合理的な取得費を採用したのちの更正の請求においては使えない

 

今回注意していただきたいのは、上記1です。

過去の購入においては、登記簿謄本でその購入先が判別できます。

したがって、税務署は登記簿謄本の情報をもとに、過去の購入先に
売買契約書等の有無を反面調査などで確認することができるということになります。
こちら側に購入した情報がなく、市街地価格指数を使って申告した後に、
税務調査で実際の購入価額を指摘されるという可能性があるということです。

こうなれば、市街地価格指数の方が取得費とされる可能性は極めて低いものと考えます。

下記に市街地価格指数を取得費として認めた、平成12年11月16日裁決の一文を記載いたします。

(イ)本件物件の取得費の算定に当たっては本件建物のうち改築として明らかにその額が認定できるものについてはそれによることとする。
しかしながら、取得時期は判明しているが取得価額を直接証する契約書等の資料(請求人提出の資料で採用できないものも含む。)の提出がなく、その額が不明なものについては、その費用を実額により算定することができないから、その部分については、推計の方法によって算定せざるをえない。
本件宅地の取得費については、前記(イ)のとおり、実額で算定することができないので、取得時の時価相当額を推計することとなるが、原処分庁は、これについて、別表4の「原処分庁主張額」欄のとおり、本件物件の譲渡価額から本件新建物の取得費のみを控除した金額を基に、当該宅地の譲渡時と取得時の価格指数の割合を乗じて算定している。

本裁決においても、請求人(納税者側)の提出した相手方の記載されていない証拠書類は認められず、原処分庁(税務署側)の採用した市街地価格指数を審判所が合理的で相当であるとしているだけです。

実額で算定することができない場合にだけ、取得時の時価相当額が認められるのであり、
明らかに取得価額が認定できるものはその金額によります。

売買契約書はもとより、購入先の金銭出納帳だったり、その他証拠能力が担保されうるものが
認定事実となる可能性が高いでしょう。

したがいまして、本裁決は購入価額不明なものに対して無制限に市街地価格指数を認めたものではありません。

 

修正申告を行うタイミング

また、市街地価格指数を使った譲渡所得の申告後に、
税務署から税務調査の事前連絡を受けることもあるかと思います。

その場合、もし、購入先に当時の売買契約書の確認等をせずに申告しているのであれば、
臨場調査を行う前に一度購入先に確認しておきましょう。
そこで、初めて購入金額が判明したなら、その金額をもとに修正申告を行えばいいからです。
このタイミングであれば過少申告加算税はおそらく課されないと思われます。 

これについては下記により定められております

国税通則法第65条5項

修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、適用しない

この「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」には、臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合も含まれています。

しかし、平成29年1月1日以降に法定申告期限が到来するものに関しては、
事前の調査通知を受けてから提出される修正申告についても加算税の対象となりますので、
それ以降に提出した(する)譲渡所得の申告で下記の場合には、
自主的に修正申告を行うことも検討した方ががよいのかもしれません。

・市街地価格指数で計算した土地の取得費と当時の実勢価格が大きく乖離している※

・購入先に当時の購入金額を確認できる場合

・他の合理的な方法による方が、明らかに当時の実勢価格に近いと考えられる場合

※市街地価格指数は、地域ごとに細かく細分化されたものではないので、必ずその土地固有の実勢を反映するような精度の高いものではない。

 

今後もこのカテゴリーでは資産税について専門的な情報もお届けしていきます。乞うご期待!

12/30~1/3まではお休みいたします。

来年も毎週金曜日にブログを更新していきます。お楽しみに!

それでは皆様良いお年をお迎えください。