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福岡県糸島市で気軽に相続相談ができる税理士、小山知則です。

毎週金曜日にブログで私の専門としている経営と相続をメインに役立つ情報を綴っていきます。お楽しみに!


相続税の預金調査の手順

相続税の申告の際は、必ず被相続人の預貯金の過去の移動状況を確認いたします。

以下、私が行っている方法です。

①被相続人(必要に応じて相続人も)の通帳をお預かりする

②被相続人の法定相続情報一覧図※1を金融機関に提出

③過去7年分の取引履歴を金融機関からもらう

④③をもとにExcelで資金移動表を作成する

⑤過去5年分につき理論上の預貯金残高と実際の預貯金残高をチェックする

⑥過去に使途不明な資金移動がないかチェックする

大体、以上のような流れを行えば名義預金や過去の贈与などの有無が判明することが多いです。

※1 法定相続情報一覧図
今までは、金融機関などの各種相続手続きを行う際、その都度窓口で戸籍謄本等の束を提出する必要がありました。
しかし、平成29年5月29日より法定相続情報等証明制度が開始。
法務局に一度、戸籍謄本等の束と法定相続情報一覧図を提出すれば、その一覧図に認証分を付した写しが交付されます。
以降は、窓口でその法定相続情報の写しを提出することで各種相続手続きが可能になりました。

そして、やはり頭を悩ませるのは、贈与税の時効※2前に被相続人から相続人等へ資金移動が行われている場合です。

※2 贈与税の時効:法定申告期限から6年、悪質な場合7年

 

・贈与契約書が存在する。

・金銭消費貸借契約書が存在する。

・明かな名義預金である。

上の例のように法的あるいは客観的事実が存在すればよいのですが、大体は相続人等への聞き取りによって事実を明らかにしていくことが多くなります。
しかし、2次相続※3や数次相続※4の場合など、当時の状況を知る親族の方などが既に死去してしまっていて、事実の把握が困難な場合がございます。

※3 2次相続:最初の相続(1次相続)で残された配偶者も亡くなった時

※4 数次相続:被相続人の遺産分割が行われないうちに相続人が亡くなって、次の相続が開始してしまうこと

そのような場合は以下の選択肢を迫られます。

不明な資金移動が判明した場合

①名義預金とする

当該入金口座の出資状況、管理支配状況から総合的に名義人ではなく被相続人の財産と判断する。

→当該口座は被相続人の財産として相続税の申告を行う。

②贈与が行われていたとする

名義預金となるような状況がなく、資金移動後にその財産を相続人が費消している。受贈者が存命で、贈与を受けた意思を明確にしているなど。

→贈与税の期限後申告を行う。

③貸付金(仮払金)や借入金(仮受金)とする

A:被相続人から相続人へ資金移動が行われていた場合で、①や②とするべき事情がない時

→資金移動された金額を貸付金(仮払金)として相続財産に計上して相続税の申告を行う。

B:相続人から被相続人へ資金移動が行われていた場合で、①や②とするべき事情がない時

→資金移動された金額を借入金(仮受金)として相続財産から債務控除して相続税の申告を行う。

贈与税率が相続税率より相当に高くなる場合など、①や③Aとした方が納税負担が少なくなることが多いでしょう。

しかし、税務調査においては、②を主張してくることがしばしばあります。
過去においても課税庁よりかなり強引に贈与とされ課税処分を受けている事例が見受けられます。

しかしながら、以前お伝えしたように贈与は、あげる方ともらう方の双方における意思が存在してはじめて成立します

(民法549条)
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

 まとめ

調査官が当事者間における贈与の意思があったかをはっきりと立証していないのであれば、(基本的に贈与契約書等がない限り、課税庁側が立証することは難しいと思われる)贈与課税を安易に受け入れるべきではありません。

検証した結果が、

・当該入金口座の出資状況、管理支配状況などから総合的にみて名義預金ではない
・資金移動後にその預貯金を相続人が自ら費消していない

以上のような状況であれば、たとえ被相続人の口座に他の相続人の口座から資金が入ってきていた場合においても、被相続人において借入金(仮受金)として申告することも十分考えていいと思います。

 名義預金や生前贈与といったところは、相続税の税務調査でも一番問題になるポイントとなり、相続税を申告する際、細かく注意するところの一つになります。

 名義預金や贈与税の申告漏れとならないように、初めからしっかりとした対策をしておくことが肝要です。身も蓋もないですが💦、やはり問題になりそうなところは、予め生前に整理しておくことがなにより大切です。

 名義預金対策について注意すべき点については”名義預金とされないための7つの心得”をご参考ください。

 

次回も相続についての身近な疑問にもお答えしていきます。乞うご期待!