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福岡県糸島市で気軽に経営相談ができる税理士、小山知則です。
毎週金曜日にブログで私の専門としている経営と相続をメインに役立つ情報を綴っていきます。お楽しみに!
衆議院選挙の投票日が明後日に迫って、
街には選挙カーが走り、TVや新聞などのメディアも選挙の報道が多くなっています。
今回の経済における争点は「消費税増税の可否とその使い道」となっているようです。
消費税増税、二つの対立軸
■財政再建派
消費税は増税すべき。
今回、増税せずに国債が増え続けていけば将来世代の負担が大きくなる。
過去何度も増税を先送りして、問題を先送りにしてきた。
現在、痛みを伴ってでもしっかり増税して借金の返済や社会保障費に充てるべき。
□リフレ派
日本経済の停滞はデフレによるものだ。
マイルドなインフレが実現できれば・・・・
販売価格が上がる→企業業績が上がる→賃金が上がる→消費が増える→企業業績が上がる
上のようなループで景気が好循環する。
今、消費税を上げると・・・・
消費が下がる→企業業績が下がる→賃金が下がる→消費が下がる
上のようなループで逆に景気が悪循環する。
両者の主張を簡単にすると以上のようなものでしょう。
基本的に国民に不人気な増税ですが、今回の選挙においては、
”将来世代へツケを回さないためには必要悪だ”という風潮が
にわかに起こっているような気がします。
増税とインフレターゲティングの比較
消費税を1%増税することにより増える税収が約2兆円と言われています。
消費税を8%から10%へ2%引き上げることで4兆円税収が増えたとします。
国債残高が仮に1,000兆円として、たったの4兆円ではそのインパクトは
借金全体の僅か0.4%に過ぎません。
例えば、1億円の借入がある企業が、年間売上ベースで40万円増収しても
あまり意味がないのと同じような感じです。
しかし、仮にこの先2%のインフレが起これば、
1,000兆円の借金は
5年後906兆円、
10年後820兆円、
20年後は673兆円、
40年後453兆円まで実質的に減少します。
単純な将来価値の計算です。
国債残高の推移だけみると、消費税を増税してちまちま返済原資に充てるというのは
あまり意味がありません。
将来世代に残せるものは、少しだけ削った借金の残高ではありません。
経済成長や好景気のバトンを渡す方が、子々孫々には有難い財産でしょう。
しかも、マイルドなインフレによる国債の実質残高の大幅な削減ができれば
将来世代にさらに喜ばれることは間違いないでしょう。
選挙にいきましょう
日銀による異次元緩和は、その大胆さや前例のなさ、
そして何より結果をいまだ見ないことから、絶対悪のように言われています。
”もはや正気か?”というような空気すら醸成されつつあるような気がします。
しかし、財政再建派が財政再建の主張をするように、
金融緩和を行うにも金融緩和を行う理由があります。
日銀の黒田総裁も、歴史に残るような失策を好んで行っているはずはありません。
風潮や空気といったような得体の知れないものに惑わされことなく、
現在の日本経済の病巣がどこにあるのかをしっかり再認識して、
最適な治療が何なのかを検証し、
忍耐強く経過を観察するのか、
或いは、次の治療法を行うのを考えなければなりません。
今回の選挙で増税で借金返済をするという公約を掲げている政党はないようですが、
消費税増税はなぜ必要なのか?増税すると一体どんな効果があるのか?という
経済・財政の基本をあらためて見つめ直してから
投票に行くきっかけになればなと思います。
次回も事務所カテゴリーでは日々のニュースや思ったことも発信していきます。お楽しみに!