銀行との取引にローカルベンチマークを使った方がいい理由

いつもこのブログを読んでいただきありがとうございます。

福岡県糸島市で気軽に経営相談ができる税理士、小山知則です。

毎週金曜日にブログで私の専門としている経営と相続をメインに役立つ情報を綴っていきます。お楽しみに!


ローカルベンチマークとは



ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツールとして、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されるものです。
具体的には、「参考ツール」を活用して、「財務情報」(6つの指標※1)と「非財務情報」(4つの視点※2)に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握することで経営状態の変化に早めに気付き、早期の対話や支援につなげていくものです。

引用:経済産業省(一部加筆修正)

※1 財務情報

①売上高増加率(売上持続性)

②営業利益率(収益性)

③労働生産性(生産性)
 営業利益/従業員数

④EBITDA有利子負債倍率(健全性)
(借入金-現金・預金)/(営業利益+減価償却費)
分母は営業活動で獲得できるキャッシュフローになる。
したがって営業キャッシュフローの何倍の借入をしているかの指標。
小さい方がいい。

⑤営業運転資本回転期間(効率性)
(売上債権+棚卸資産-仕入債務)/平均月商
売上の何か月分の運転資金が手元に必要かを示す。
小さい方がいい。

⑥自己資本比率(安全性)

 

※2 非財務情報

①経営者への着目
経営理念・経営ビジョン、経営意欲、後継者・事業承継についてなど

②関係者への着目
市場動向・規模・シェア、顧客との取引状況・新規開拓、従業員定着率や取引金融機関など

③事業への着目
企業沿革、自社の強み・弱み、IT活用付加価値向上への取組など

④内部管理体制への着目
組織体制、事業計画・経営計画の有無、従業員との共有・社内会議の実施状況、研修などの人材育成への取組状況など

事業性評価※3との関係

 

 森金融庁主導により今日の金融行政のスタンスとして、銀行には担保保証に依存せず、顧客の事業や将来性・持続可能性を見極めた取引を求めています。

 最近では、地方銀行においても金融仲介機能のベンチマーク※4に関する取組み状況を公表しており、事業性評価に基づく融資等、担保・保証に過度に依存しない融資を選択ベンチマーク※5としているところもございます。

※3 事業性評価
銀行の融資が変わる(事業性評価)をご参照ください。

※4 金融仲介機能のベンチマーク
 平成28年9月に金融庁より公表。従来の金融検査マニュアル(1999年~)はバブル経済崩壊後における不良債権処理を主目的としてつくられたものであり、不良債権問題が正常化した現在においては一応はその役目を終えたと考えられる。
そこで、金融仲介機能のベンチマークでは、金融機関が取引先企業のニーズや課題に応じた融資やソリューション(解決策)の提供等を行うことにより、本来あるべき金融仲介機能を発揮し、取引先企業の成長や地域経済の活性化等に貢献していくため、その自身の取組・進捗状況・課題等について客観的に自己評価するべくベンチマークを定めている。

※5 選択ベンチマーク
金融仲介機能ベンチマークには5つの共通ベンチマークと50の選択ベンチマークが存在する。また独自ベンチマークを掲げている金融機関もある。

 下記の銀行などにおいては、事業性評価を選択ベンチマークとして採用している。あるいは、共通ベンチマーク5※6についてディスクロージャー誌等で確認できます。

福岡中央銀行
山口フィナンシャルグループ(山口銀行・もみじ銀行・北九州銀行)
ふくおかフィナンシャルグループ(福岡銀行・熊本銀行・親和銀行)

※6 共通ベンチマーク5
金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、 全与信先数及び融資額に占める割合

金融仲介機能その他のベンチマーク

その他のベンチマークにおいても、今後の金融行政が掲げる3つのKPI※7

「地域の中核企業の経営改善」
「事業再生や転廃業への取組」
「担保・保証依存の融資姿勢からの転換」

を軸に作られています。

したがって、

地域経済をけん引する地域の中核企業についての経営改善を行い、
企業のライフステージに応じた支援で新陳代謝を図り、
目利き力を発揮し、事業の持続可能性や成長性を見極めよう。

といったような項目が並んでおります。

一例を挙げれば、福岡中央銀行が、

選択ベンチマーク19 M&A支援先数
選択ベンチマーク21 事業承継支援先数

を掲げており、税理士等の外部機関と連携し、
地域の中小企業や個人事業者の出口戦略や後継者問題に対して
積極的な支援をすることを目標としています。

一度、自社の取引銀行に「御行の選択ベンチマークは何ですか?」と尋ねてみましょう

※7 KPI
Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略語で、業績評価を定量的に評価するための指標

まとめ

 いかがでしょうか。繰り返しになりますが、ローカルベンチマークは「事業性評価の入口」になるものです。

また、ローカルベンチマークは企業と銀行との対話ツールとしての活用が期待されているものです。

事業性評価による融資を受けたいのであれば、まずはローカルベンチマークを使ってみましょう。
まだまだ使っている企業が少ないので、銀行に対する皆様の会社の評価はかならず上がると思います

手順

①ローカルベンチマークをダウンロード
こちらのローカルベンチマークツールのところ(Excel形式)
②直近3期分の決算書をお手元に用意
③Excelファイルの入力シートに必要項目を入力する。
④財務情報が完成。これだけです。所要時間30分!(笑)

こういうのが出来上がります。↓

 非財務情報についても、一度自社の事業を点検するいい機会になると思いますので、
全社的に取り組まれてみてはいかかでしょうか

 

次回も資金調達に関する最新情報等についてもご紹介していきます。乞うご期待!

 

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