上場株式の評価と配当期待権

いつもこの記事を読んでいただきありがとうございます。

福岡県糸島市で気軽に相続相談ができる税理士、小山知則です。

毎週金曜日にブログで私の専門としている経営と相続をメインに役立つ情報を綴っていきます。お楽しみに!


今回は相続財産の中に上場株式がある場合の手続と評価方法についてです。

上場株式の中でもよくあるケース、配当が絡む場合と株式併合がある場合についてご紹介いたします。

権利落ち、株式の割り当てを受ける権利の評価については次回以降機会があれば掲載したいと思います。

 

手続

まずは、被相続人の証券口座の有無を確認しましょう。

証券口座がある場合、証券会社に問い合わせて下記の資料を取り寄せましょう。

①残高証明書

お亡くなりになった日(以下、課税時期といいます。)時点の保有銘柄ごとの株式数が記載されています。

②元帳

証券口座の入出金履歴が記載されています。

課税時期からさかのぼって最低5年分は発行してもらいましょう。

預貯金口座間との資金の流れを把握し、生前の贈与や名義預金の有無を確認するために必要になります。

③時価評価参考資料

保有銘柄ごとに

・課税時期の終値

・課税時期当月の月中平均終値

・課税時期前月の月中平均終値

・課税時期前々月の月中平均終値

に加えて株式分割や株式併合などの情報が記載されています。

yahooファイナンスなどで確認することもできますが、銘柄が多い場合などこちらで確認する方が楽です(笑)

※証券会社によって掲載内容が異なる場合がございます。

 

以上の資料と年の初めに送られてきます年間取引報告書があれば上場株式の評価のための準備はOKです。

 

上場株式の評価

原則

保有銘柄ごとに

①課税時期の終値※1

②課税時期当月の月中平均終値

③課税時期前月の月中平均終値

④課税時期前々月の月中平均終値

①~④のうち最も低い金額

※1:課税時期が土日などで終値がない場合、
課税時期に最も近い日の終値。最も近い日が複数ある場合はその平均値。

株式併合※がある場合(結構よくあるので注意が必要です。)

株式併合比率により調整する必要があります。

例えば株式併合比率が10:1の場合、調整前の株価は10分の1の評価となってますので調整前の月中平均終値に10を掛けて調整する必要があります。

※2:既存の数個の株式を1株に統合することにより、発行済み株式数を減らす方法。たとえば、2株を1株に併合すると(併合比率2対1)、発行済み株式数は半分になるとともに、理論価格は2倍になる。理論上、株式併合自体は株式価値には、影響を及ぼさない。

課税時期が配当の基準日前にある場合

配当落ちの日※3の前日以前の終値のうち、課税時期に最も近い日の終値を、
上の原則計算の①課税時期の終値とします。
②~④については調整不要です。

※3:基準日(権利確定日)の2営業日前。
配当落ちの日より理論上、一株当たりの配当金分だけ株価が値下がります

課税時期が配当の基準日の翌日以降にある場合

配当落ちの日以降の終値のうち、課税時期に最も近い日の終値を、
上の原則計算の①課税時期の終値とします。
②~④については調整不要です。

配当期待権の評価

課税時期が基準日(権利確定日)から配当日までの期間の間にある場合は計上します。

配当日や配当金額は年間取引報告書や決算短信(インターネットで誰でも閲覧できます。)で確認できます。

評価:予想配当金額×(1-源泉徴収税率20.315%)×取得株式数

課税時期が株主総会の日以後配当日までの期間の間にある場合は、配当期待権ではなく未収配当金として計上しましょう。

 

次回もこのカテゴリーでは相続税の申告に関する具体的な手続きや評価などもご紹介していきます。乞うご期待!

 

 

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