事例を使った相続時精算課税制度の使い道

いつもこの記事を読んでいただきありがとうございます。

福岡県糸島市の愉快な税理士、小山知則です。

これからも、毎週金曜日にこのブログで皆様のお役に立つ情報や面白い事を書いていこうと思います。よろしくお願いします。

内容は私が専門としています資産税と経営についてです。あとは糸島の魅力について徒然なるままに綴っていきます。お楽しみに!


皆様、相続時精算課税制度というのをご存知でしょうか?

例)おじいちゃん→20歳のお孫さんへ3,100万円贈与する場合

1、一回で贈与

2、毎年310万円を10年間贈与

3、相続時精算課税による贈与

1、2は暦年贈与と呼ばれるものです。通常一度に贈与してしますと多額の贈与税が課税されますので、2のように310万ずつ毎年分けて贈与することで、実効税率を下げ(33.65%→10%)、かつ基礎控除を10年分使うことができます。今回1と2の差は806万円(1,006万-200万)になります。

一方、3が相続時精算課税による贈与になります。2,500万円まで贈与しても特別控除(2,500万)があるため、贈与税がかかりません。今回のケースでも一回で3,100万贈与したにもかかわらず120万円の贈与税となっております。

しかし、この制度は文字通り相続時に精算されます。つまり、相続が発生した時に贈与した財産を贈与した時の価格で相続税の課税価格に加算し、相続税額を算出します。そして算出されたお孫さんの相続税額から既に支払った贈与税120万を控除した額を納税します。

例えばお孫さんの相続税額が300万なら120万を差し引いた180万の納税です。

そして、一度、相続時精算課税制度の適用を受けると暦年贈与を受けることができなくなってしまいます。せっかく贈与しても相続時に持ち戻すうえに、暦年贈与に戻れないため基礎控除を使えなくなってしまいます。( ゜Д゜;)!?

したがって、遺産が多額になる方にとっては、相続税の実効税率を上回らない範囲で上記2による暦年贈与を行うことが基本となるでしょう。専門家に生前贈与の損益分岐点を出してもらいましょう。

 

しかしながら、以下のようなケースにおいては、相続時精算課税制度を利用した相続対策や節税対策が可能となるでしょう。

 

①将来、土地の収用などがあるケース

例えば、おじいさんの1,000万の土地が4,000万で収用されるとした場合

何もしないと、収用後の4,000万の財産がそのままおじいさんの相続財産になります。

しかし、相続時精算課税により贈与すると、贈与税は1,000万-2,500万=-1,500万でかかりません。

しかも、相続税の課税価格に持ち戻される価格は、贈与時点の評価額です。

したがって、収用前の土地の価格1,000万だけがおじいさんの相続財産になります。

 

②高収益な不動産があるケース

例えばお父さんが評価1億円の投資用マンションで毎年1,000万の税引後利益があるとした場合

何もせず10年後に相続が発生した場合、相続税の課税価格に算入される金額はもともとのマンション1億円に10年分のマンション収入1億円(1,000万×10年)を加算した2億円となります。

しかし、相続時精算課税により贈与すると、贈与税は1,500万((1億-2,500万)×20%)かかりますが、相続税の課税価格に算入される金額は1億円となります。

以下、実際のシミュレーション

■その他の財産が3億円、奥様とお子様二人が法定相続人と仮定したシミュレーション

A、何もしなかった場合

 

 

 

B、相続時精算課税により投資用マンションをお子様に贈与した場合

 

 

 

AとBの差額は3,806万円になります。遺産が多額になればなるほど節税効果は大きくなるでしょう。

また、お父さんの所得がお子様より大きい場合、所得税の減額効果もあるでしょう。

 

③相続税が将来発生しないと予測されるケース

そもそも、相続税がかかるほど財産をお持ちでない方にとっては一気に2,500万まではお子様やお孫さんに財産を無税で贈与出来ます。贈与時の申告だけで、相続時は申告する必要もありません。

 

いかかでしょうか、相続税対策はやはり生前対策が必須になるかと思います。今回は、あまり知られていない相続時精算課税制度についてのお話でした。

今回はまじめですいません!このところ忙しくて←言い訳

今後もこのカテゴリーでは資産税に関する情報を出来るだけわかりやすくお届けしていきます。乞うご期待!

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